ChatGPTが、ついに「自分で動くブラウザ」になりました。
OpenAIが公開した ChatGPT Atlas(アトラス) は、
ただの検索ツールでも、チャットアプリでもありません。
ページを開いて内容を読み取り、その場で考え、答えを出してくれる――
そんな“行動するAIブラウザ”です。
私は今回、macOSのAtlasをダウンロードして実際に使ってみました。
セットアップの途中から、すでに「普通のブラウザとは違う」感覚。
そして試した中でも特に印象的だったのが、
トップ画面にあった 「エージェントモード」 です。
「札幌で夜営業している評判の良い居酒屋を3つ探して」と一文入れたら、
わずか5秒で、写真・住所・レビューつきのリストが完成しました。
検索するのではなく、AIに“お願いする”。
そんな時代がもう始まっています。
ChatGPT Atlasとは?
OpenAIが2025年秋に公開した ChatGPT Atlas(チャットジーピーティー・アトラス) は、
ChatGPTが内蔵されたまったく新しいWebブラウザです。
これまでのChatGPTは、chat.openai.comの画面上で「質問する」「文章を作る」といった
“会話中心のAIツール”でした。
Atlasではそこにブラウザ機能が加わり、
「AIが自分と一緒にWebを閲覧してくれる」という形へ進化しています。
ページを開いたまま「この内容を3行でまとめて」や「この商品の特徴を整理して」と話しかけると、
Atlasはそのページ本文を読み取り、右サイドバーにすぐ答えを表示してくれます。
従来のChatGPTが「言葉を受け取って考えるAI」だったのに対し、
Atlasは「見て、読んで、考えるAI」になったと言っていいでしょう。
ChatGPT Atlas は、現時点では macOS 専用として提供(Windows/iOS/Android は開発中)です。Agent モードは Plus/Pro/Business 向けのプレビュー機能です。Windows/iOS/Android 版は開発中と案内されています。
ページを開いたままAIに要約や提案を頼める――
それがChatGPT Atlas最大の特徴です。
ダウンロードと初期設定
ChatGPT Atlas は 現時点では macOS 専用として提供(Windows/iOS/Android は開発中)です。
インストールはOpenAIの公式サイトからワンクリック。私の場合は、ChatGPT画面のサイドバーに「Atlas」が表示されたので、クリックして、公式サイトのダウンロード画面に入りました。


起動すると、これまでのChatGPTとはまったく違う初期設定画面が現れます。
最初に目にするのは、
ChromeやSafariなど、今まで使っていたブラウザからの設定インポート画面。
ブックマークや履歴、パスワードを引き継げるので、
「ChatGPTを使うために新しい環境をゼロから整える」必要はありません。

続いて表示されるのが、「ブラウザーのメモリをオンにしますか?」という設定。
「ブラウザーメモリー」をオンにすると、閲覧履歴や最近の操作をもとに Atlas が提案や補助を行うようになります(メモリーのオン/オフや管理は設定からいつでも変更可)。ユーザーの“好み”を学習するというより、直近の行動を参照して補助する性質です。

さらに印象的だったのが、
「どのサイトでもChatGPTに質問できるようにする」という項目。
これを有効にすると、ブラウザ右上にChatGPTアイコンが常駐し、
どんなページを開いていてもサイドバーから質問できるようになります。
ページを切り替えるたびにAIが横で待機しているような感覚です。

最後に「Atlasをデフォルトブラウザに設定するか」を尋ねる画面が表示されます。
ここで「はい」を選ぶと、期間限定で7日間の利用上限拡張プロモーションが適用。
チャット回数やWebブラウズの制限が緩和され、
Atlasをフル機能で体験できるようになります。

※初回セットアップ時に デフォルトブラウザに設定を促す案内が表示されることがあります。期間限定の優待(上限拡張など)が提示される場合もありますが、内容や実施有無はアカウントや時期により異なります。最新の表示内容に従ってください。
実際に使ってみた
Atlasを起動すると、シンプルで落ち着いたトップ画面が現れました。
左上には「ChatGPT Atlas」のロゴ、中央には検索窓とショートカット群。
その中に、ひときわ目を引く項目がありました。
それが―― 「エージェントモード」。

説明文にはこうあります。
“ChatGPT にあなたに代わって複雑な作業をブラウザーで実施するように指示してみましょう”
まさに、AIが「考える」だけでなく「動く」フェーズに入ったことを示す言葉です。
私はさっそくこのモードを開き、試してみることにしました。
入力欄に打ち込んだのは、たった一文。
すると――わずか5秒で結果が出ました。
しかも、単なるリンクの羅列ではなく、写真・住所・レビュー・営業時間まで整理されたリスト形式。
Atlasが複数のサイトを横断し、必要な情報をまとめてくれたのです。
ここから、Atlasの真価を実感する実験が始まりました。
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実験① エージェントモードで居酒屋検索してみた
エージェントモードの入力欄に、こう打ち込みました。

Atlas はその一文を受け取ると、わずか 5 秒で検索と整理を同時に実行。Google マップ、Hot Pepper、Retty、店舗公式サイトなど複数の情報源を横断的に参照し、3軒の候補を写真つきで整理して提示してくれました。
🥇 産地直送 粋な居酒屋 あいよ 狸小路4丁目店
- 住所:札幌市中央区南2条西4丁目 清水ビルB1
- Googleレビュー:約4.6★/1,500件超
- 特徴:海鮮が充実、狸小路中心の賑やかな雰囲気。友人との飲み会や2次会利用に最適。
🥈 産地直送 粋な居酒屋 あいよ 札幌駅北1条店
- 住所:札幌市中央区北1条西5丁目2 興銀ビル1F
- Googleレビュー:約4.6★/1,000件超
- 特徴:駅チカの利便性。海鮮と居酒屋メニューのバランスが良く、夜の利用に安心感あり。
🥉 居酒屋 北味(すすきの5・5ビル)
- 住所:札幌市中央区南5条西5丁目 すすきの5・5ビル2F
- Googleレビュー:約4.9★/250件前後
- 特徴:落ち着いた雰囲気で少人数向き。魚料理が評判で、予約がおすすめ。
ここまでの情報が、わずか数秒。
検索キーワードを組み合わせる必要もなく、条件を会話のように伝えるだけで整ったリストが届く。
通常の検索エンジンのように「リンクを1つずつ開いて確かめる」必要がなく、
言葉を入力した瞬間にAtlasが複数のサイトを読み比べ、要点をまとめてくれます。
「探す」から「お願いする」へ。
これが、Atlasを使って最初に感じた変化でした。
実験② 自分のサイトで“ページを読ませる”テスト
次に試したのは、自分のブログ「猫でもわかるChatGPT」のトップページ。
ブラウザ右上の「ChatGPTに質問する」ボタンを押すと、
Atlasのサイドバーがスッと開き、ページ全体を読み込み始めました。
入力したのは、こんなシンプルな指示です。
Atlasは数秒で内容を解析し、次のような要約を表示しました。

Atlasの返答(抜粋):
1️⃣ChatGPTとは何かを初心者にもわかりやすく整理している。
2️⃣ 「仕事」「副業」「学習」「画像生成」など、目的別の活用方法をまとめて紹介。
3️⃣ ChatGPTの使い方・トラブル対処・学習サポートなど、実務で役立つ情報を中心に構成。
要約の精度は驚くほど自然で、
ページのメタ情報やカテゴリ構造まで正確に読み取っていました。
通常の ChatGPT の標準画面では、(検索/ブラウズを使わない限り)リンク先の本文を自動で読み取りません。Atlas はいま開いているページの内容をその場で理解して返答できるのが大きな違いです。
この時点で、ChatGPTが単なる会話AIではなく、
“ページを一緒に読むパートナー” になった感覚がありました。
実験③ Atlasの検索を使ってみた(札幌市ごみの例)
Atlasの検索バーは、従来のブラウザ検索とはまったく違う仕組みを持っています。
検索欄に「札幌市 ごみ」と入力してエンターを押すと、
まず最初に表示されるのは――ChatGPT自身の回答です。
ChatGPTが複数の自治体サイトを読み取り、
冒頭で「札幌市のごみ出しルールと分別方法」を画像つきで整理してくれました。
下には「家庭ごみ収集日カレンダー」「ごみの出し方」「大型ごみ」など、
札幌市公式サイトの関連リンクが並びます。
つまり、検索の最上段に“AIによる要約”が出て、
その下に“Google検索の結果”が続く構造です。

さらに、画面上部には 5つのモード切り替えアイコン が並んでいます。
| アイコン | 説明 |
|---|---|
| 🏠 ホーム | Atlasのトップ画面に戻る |
| 🌐 検索する | 一般的なWeb検索(Google検索結果を表示) |
| 🖼️ 画像 | 画像検索モード。視覚的に情報を探す際に便利 |
| 🎥 動画 | YouTubeなどの動画サイトを検索 |
| 📰 ニュース | 各メディアの最新記事や速報をまとめて表示 |
※これらのタブで Search/Images/Videos/News に切り替えられます。
実際、「札幌市 ごみ」を調べたときも、
最初にAIが分別ルールをまとめ、
次に地球マーク(🌐検索する)をクリックすると、
市の公式サイトが上位に並びました。

「ChatGPTが調べてくれる検索」と「自分で調べる検索」が、
一枚の画面に自然に共存している――それがAtlasの検索体験でした。
Atlasで感じたメリットと課題
3つの実験を通して感じたのは、
ChatGPT Atlasは「AIと一緒にWebを使う」という新しい体験を形にしたブラウザだということ。
検索・閲覧・要約・比較といった行動が、
まるで自然な会話の延長のように進んでいきます。
✅ メリット
1. 検索が“対話型”になる
キーワードを打つ代わりに、「〜を3つ探して」「要点をまとめて」と自然文で頼める。
条件の絞り込みも一文で済み、情報収集のテンポが一気に上がります。
2. ページを読ませて理解させられる
開いているWebページの内容を直接理解し、要約や比較をしてくれる。
「URLを貼る→読ませる」という手間がなくなり、
「今見ているページについて聞ける」直感的な操作が可能です。
3. ブラウザとChatGPTが完全に一体化
検索・要約・メモなど、すべて同じ画面で完結。
サイドバーの開閉もスムーズで、ページを離れずに質問を続けられます。
AIが常に右隣で待機している感覚は、通常のブラウザにはない快適さです。
4. 複数ソースを自動で整理
飲食店検索などでは、食べログ・Google・Jalanなど複数のサイトを横断し、
それぞれの要点を統合した回答を生成。
“比較して探す”作業をAIが一瞬で代行してくれます。
⚠️ 課題・注意点
1. Mac専用で、利用できる人が限られる
現時点(2025年11月)ではMacのみ対応。
Windowsユーザーは今後のリリースを待つ必要があります。
2. 出典の明示が不完全な場合も
AI回答内で引用元がすべて明記されるわけではなく、
「どのサイトを参照したか」を自分で確認する必要がある場面も。
3. AI回答の内容に誤りが含まれる可能性
ページの要約や情報整理が自動化される反面、
元ページの更新内容が反映されていないケースもあり、最終確認は人の手が欠かせません。
とはいえ、Atlasは“AIがネットの入口になる”という意味で、
これまでのブラウザとはまったく別の存在。
使えば使うほど、従来の検索が少し物足りなく感じてしまうほどの完成度でした。
まとめ ― AIブラウザ時代の入口に立って
今回の実験を通して、ChatGPT Atlasは“ブラウザ”というよりも、
「AIと一緒に考えるための作業空間」 に近いと感じました。
調べたい言葉を入力すると、AIが要点をまとめてくれる。
開いているページを読ませると、瞬時に整理してくれる。
まるで、ブラウザの中に知識のあるアシスタントが同席しているような感覚です。
これまでのWeb検索では、
ユーザーがキーワードを選び、複数のページを開き、
必要な情報を取捨選択して自分でまとめてきました。
Atlasはその一連の流れをAIが肩代わりし、
私たちは「どんな答えがほしいか」を伝えるだけで済むようになります。
「調べる」から「伝える」へ。
検索の主導権が、人からAIへと静かに移りつつある――
そんな時代の転換点を、Atlasは見せてくれました。
もちろん、誤りや限界もあります。
それでも、AIが文章を読む・理解する・整理するというプロセスを、
私たちのすぐそばで支援してくれるようになったのは大きな一歩です。
macOS版に続いてWindows版が登場し、
さらに精度が高まれば、
「ChatGPTを使う」ではなく
「ChatGPTと一緒にWebを歩く」 という時代が本格的に始まるでしょう。
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