文章を書いていると、自分では気づかないうちに、同じような意味の言葉を重ねていたり、必要以上に慎重な表現になっていたりすることがあります。
何度も読み返していると、それが当たり前になってしまう。
そんなとき、私はChatGPTに文章を読んでもらうことがあります。
「ここ、どう思う?」
くらいの軽い感じで見せることもあれば、
「気になるところがあれば指摘して」
と頼むこともあります。
すると、自分では気づかなかったところを指摘してくれることがあります。
言葉の重なりは自分では気づきにくい
以前、あるスポーツイベントの紹介文を作っていたときのことです。
文章の最後に、
「プロへの登竜門ともいえる大舞台で、逸材たちが……」
というような表現を入れていました。
自分としては、これでいいと思っていました。
ところがChatGPTに見せると、
「登竜門」と「大舞台」が少し意味として重なっている
と指摘されました。
言われてみれば、確かにそうです。
「登竜門」という言葉だけでも、特別な舞台であることは伝わります。
そこで「大舞台」を外してみました。
すると今度は、自分で別のところが気になりました。
その前の文に「精鋭」という言葉があるのに、次の文で「逸材」と書いている。
これも、どちらも優れた選手を表す言葉です。
「精鋭と逸材もかぶるよね」
と気づきました。
そこで、別の言葉を考える。
最終的には、「若き才能」という表現に落ち着きました。
「精鋭」は現在の実力を感じさせる。
一方、「若き才能」には、これからどう伸びていくのかという余白がある。
同じように優れた選手を表す言葉でも、少し意味が違います。
AIに一つ指摘してもらったことで、そこから自分でも文章を読み直すことができました。
慎重になりすぎていることもある
もう一つ、面白い指摘がありました。
私は、
「プロへの登竜門ともいえる」
という表現を使っていました。
「登竜門」と言い切っていいのかな、と少し慎重になっていたんです。
ところがChatGPTは、
「ともいえる」は慎重な表現だけれど、その分、文章の勢いは少し削いでしまう、と指摘しました。
これも、なるほどと思いました。
自分でも、ちょっとまどろっこしい言い方だなという感触はうっすらと持っていたからです。
文章を書くとき、間違ったことを書かないようにするのは大切です。
でも、慎重になりすぎると、文章そのものが弱くなることがあります。
正確に書くことと、弱く書くことは同じではない。
そんなことにも気づかされました。
もちろん、根拠がないことを断定していいわけではありません。
今回は、そう表現してもおかしくない背景があったので、私は「登竜門」という言葉を残すことにしました。
AIに言われたから変えたのではなく、指摘を見て、自分でも考えて判断したわけです。
「熱くしたい」のに説明調になっていた
別の原稿では、私はChatGPTに、
本当は、もっと熱い調子にしたいの。
と伝えました。
すると、
「今の文章は、熱い冒頭なのに、そのあと説明文になってしまう」
と指摘されました。
確かに、最初は読者を引き込もうとしているのに、その後でイベントの歴史や背景を丁寧に説明していくと、だんだん説明調になっていく。
「熱くしたい」と思っている自分と、実際に書いている文章が少しズレていたわけです。
これは、文法の間違いではありません。
情報が間違っているわけでもない。
それでも、
「自分が目指している文章になっているか」
という視点で見ると、弱いところがある。
AIに読んでもらったことで、それが見えてきました。
ただ、その後のChatGPTは少し評論家になりました(笑)。
「スポーツ新聞ならこういうリズムがいい」
「説明は短く済ませる」
「最後ももっと熱くできます」
と、いろいろ解説してくれる。
いや、そこまで詳しく聞きたいわけじゃない。
ひとこと言われたら、わかるから。
思わず、
「それを直すのがあなたの仕事」
と返しました。
するとChatGPTも「その通りです(笑)」と、ようやく文章を書き始めました。
こういうところも、AIとの文章づくりでは面白いところです。
AIに弱点を探してもらう意味
AIに文章を読んでもらうと、自分では気づかなかったところを指摘してくれることがあります。
でも、AIがすべての弱点を見つけてくれるわけではありません。
今回も、言葉の重なりを最初に指摘したのはAIでした。
一方で、別の言葉の重なりには自分で気づきました。
そんなふうに、AIから「ここが気になります」と言われることで、自分でも文章を読み直すことができる。
AIに文章の弱点を探してもらう面白さは、答えを教えてもらうことではなく、自分では見えていなかったところに目を向けられることなのかもしれません。
一人で文章を見ていると、何度も読んでいるうちに、見慣れてしまうことがあります。
そんなときにAIから、
「ここ、ちょっと気になります」
と言われる。
それだけで、急にそこが気になってくる。
そして、ときにはAIに、
「能書きはいいから、仕事して(笑)」
と言うこともある。
AIとの文章づくりは、そんなやり取りまで含めて、なかなか面白いものです。
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