AIを使うようになってから、文章を書く仕事のやり方はかなり変わりました。
材料を整理してもらう。
構成を考えてもらう。
文章を書いてもらう。
書いた文章を読んでもらう。
今では、かなりのところをAIに手伝ってもらっています。
それでも、AIに任せていない仕事があります。
その代表が、取材前の質問作りです。
取材前の質問はAIに作らせない
AIに、
「この人に取材するとしたら、どんな質問がいい?」
と聞けば、きっとたくさんの質問を考えてくれます。
資料を渡して、
「この人について重要なポイントを整理して、質問を作って」
と頼むこともできるでしょう。
でも、私は一度もやったことがありません。
取材前には、まず自分で下調べをします。
資料を読む。
その人について知る。
これまで何をしてきたのかを調べる。
その中で、
「ここが面白い」
「これはどうしてだろう」
「もう少し聞いてみたい」
と思うところを探します。
そこから質問を作っていく。
私にとっては、この
「面白そう」
「ここが気になる」
という感覚が大事なんです。
だから、そこはAIに任せていません。
AIに任せた方がたぶん効率はいい
もちろん、AIにやってもらえば楽になると思います。
資料を渡して、質問を作ってもらう。
自分で一から考えるより、ずっと早いかもしれません。
しかもAIは、たくさんの質問を出してくれるでしょう。
「こういうことも聞いてみては?」
と、自分では思いつかなかった質問を出してくれるかもしれない。
それでも、私は自分でやりたい。
なぜか。
AIに、
「重要なところを見つけて質問を作って」
と頼んでしまえば、効率は上がるかもしれません。
でも、それでは、
「自分が何に引っかかるのか」
をAIに先に決めてもらうことになるからです。
私にとって、そこはちょっと違う。
そこまでAIに投げたら、
「もう記者じゃない」
という感覚があります。
「何が面白いか」は自分で見つけたい
取材では、必ずしも「重要な情報」を聞けばいいわけではありません。
本人にとっては何気ない一言。
資料の片隅に書かれている小さな出来事。
話の流れからふと出てきた言葉。
そういうところに、
「それ、もう少し聞きたい」
と思うことがあります。
取材している本人にとっては、特別な話ではないかもしれない。
でも、私には気になった。
そこで、
「今の話、もう少し詳しく聞いていいですか?」
となる。
そうやって話を広げていく。
取材では「何が重要か」だけでなく、自分が何に引っかかったかを大事にしています。
だから私は、取材の材料をAIに整理してもらうときも、要約はさせません。
私の感覚では、AIは情報を整理するときに「要約好き」だと感じます。
「重要なのはこの3点です」とまとめる。
もちろん、それが役に立つ場面はたくさんあります。
実際、文字起こしを話題ごとに分けたり、時系列に並べたり、材料を分類したりする作業は、私はAIに任せています。
でも、文字起こしそのものを要約してもらうことは、基本的にしません。
なぜなら、記者にとっては、
一見どうでもよさそうな一言が、記事の核になることがある
からです。
だから、文字起こしは自分で全部読む。
AIが「重要」と判断したものを見るのではなく、自分で読んで、
直接話を聞いたときにはそれほど気にならなかった言葉や話の中から、
「おや?」
と引っかかるものを探す。
ここは、AIに任せたくありません。
AIを信用していないわけではない
こういう話をすると、
「AIを信用していないんじゃない?」
と思われるかもしれません。
でも、たぶん違います。
私は文章を書くとき、AIにかなり助けてもらっています。
材料の整理もする。
構成も考えてもらう。
文章も書いてもらう。
書いたものを読んでもらって、気になるところを指摘してもらう。
それなのに、取材前の質問だけは自分で作る。
なぜなのか。
考えてみると、
AIを信用していないというより、そこだけは自分を信用している。
ということなのだと思います。
自分が何を面白いと思うのか。
どこに引っかかるのか。
何をもっと聞きたいと思うのか。
そこは、自分で見つけたい。
長年、記者として取材をしてきた自分にとって、そこは仕事の根っこの部分だからです。
AIを使うほど「自分でやりたいこと」が見えてくる
面白いのは、AIを使うようになったからこそ、
「じゃあ、自分は何をAIに任せないんだろう?」
と考えるようになったことです。
AIに任せることで楽になる仕事は、どんどん任せればいい。
その一方で、
「ここは自分でやりたい」
と思うところもある。
私の場合、それが取材前の質問作りでした。
AIを使うことと、自分でやることを分ける。
全部自分でやる必要もない。
全部AIに任せる必要もない。
「ここはAIに任せる」
「ここは自分でやる」
と、自分で境界線を決めればいい。
AIを使い始めたころは、AIに何をやらせるかばかり考えていました。
でも、使っているうちに、逆に、
「これは自分でやりたい」
というものが見えてきた。
それは、AIの性能の問題だけではありません。
自分が何を仕事として大切にしているのか。
何を自分で判断したいのか。
何に自分の感性を使いたいのか。
AIを使うことで、そんなことまで考えるようになりました。
AIは、何でも任せるための道具ではない。
自分がどこまで任せるのかを決めるための道具でもある。
私にとっては、そんな付き合い方になっています。
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